
こんにちは。篠崎です。
今回は『イップスになりやすい人』についてです。
イップスは、筋肉の共収縮、相反性抑制障害と言われています。
どういうことかというと、
走ることができるのは、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)と裏側の筋肉(通称:ハムストリングス)が、交互に収縮(緊張)と弛緩(リラックス)を繰り返しているからです。
しかし、「相反性抑制障害」が起こると、本来抑制しなければならない筋肉が抑制できずに対の筋肉と一緒に収縮してしまう「共収縮」が起こり、走ることができなくなってしまいます。
これには、大脳基底核が誤作動してしまっている状態ということです。
大脳基底核は情動や学習、運動調節に関与するため、どこが誤作動してしまっているのかをみていけば改善する可能性が期待できるわけです。
イップスになりやすいタイプの人は、
①反復動作で熟練レベルに達している人
ゴルフや野球、ピアノなど反復する動作で、あるレベルまで熟練し、結果も残してきた人ということです。
②感覚よりも理論を重要視する人
自分の感覚よりも理論的な理想のフォームや技術論を重要視している人です。スポーツは、身体が無意識に動くことでスムーズなパフォーマンスを可能にしますが、理論で意識的に身体を動かそうとする人は、意識と無意識の不一致が起こってしまいやすいです。
③○○すべき、○○しなければならないという考えがある人
ゴルフでいえば、軸ブレはしてはならない、頭は固定すべき、手打ちしてはならないなど、ゴルフは私もやっているので頭がおかしくなるほど練習場で言い合っているおじさんを見かけます。「今のは身体がひらいちゃってたね~」と言っている人もいますよね。これは、前提に「身体は開いてはならない」という「べき」思考が隠れているのです。
④自分の本音と建前がわかりにくい人
本音は無意識の自分です。建前は意識の自分です。意識と無意識に境界がなく自己一致している人はイップスにはなりにくいですが、自己矛盾している人はイップスになりやすいということです。
まとめに、イップスになりやすい人をゴルフで例えてみます。
Aさん40歳。平均スコア80前半で、大会などにも出るようになって結果も残し、ゴルフにある程度の自身を持っています。
ある日、Aさんは結果も残してきているし、今度はもっと上を目指すぞと考えました。普段から受けているレッスンでももっと上を目指したいです!とレッスンプロにお願いをしました。その思いを受け取ったレッスンプロは、○○を意識してこれからはやっていきましょうとアドバイス。それからの練習は、○○しなければならないとレッスンプロからのレッテルを貼られた状態で練習に励むことになってしまいました。それは、ゴルフの本来の目的をどんどん忘れさせ、そしてさらに、身体(無意識)は以前となんか違うぞ、もっとこう打ちたいのにという違和感の訴えを気づかなくさせてしまいました。しかし、本人は○○しなければもっと上手くなれない、結果が残せない、と思い込み、無意識の訴えをどんどん退けます。他にも様々な不一致が様々な場面で起こっているため、心と身体の不一致が溜まっていきます。そして、ある日突然、ボーダーラインを超えたとき、「あれ身体が動かない」とイップスを発症してしまいました。
Aさんのイップスは、ドライバーイップスでした。
ドライバーをトップまであげると下りてこなくなってしまったのです!
もっと上手くなるためには、ドライバーの飛距離をあげたい!と考え、それをレッスンプロにお願いしていました。レッスンプロからは、距離を伸ばすには、トップを高くしなければならないからトップの位置を意識してやりましょうと言われていたのです。今まではトップの位置など気にすることなくそれなりに満足する距離を飛ばしていました。しかし、トップの位置を意識したレッスンを受けてからさらに飛ばせた気がしたのです。そうすると、トップの位置を意識すれば、飛距離はあがるという信念が強められてしまいました。始めは上手くいっていましたが、何日か練習してくると、思ったより飛距離が出ません。
Aさんは、トップがあがってないんだろうな、と考え始めてしまったのです。そして、練習はいつもトップの位置ばかり気にしていたのです。それを続けていたある日突然の出来事が「ドライバーイップス」だったのです。
上手く伝わっっていれば嬉しいです。
身体は意識すればするほど、上手く動いてくれません。
意識していたことが脳に誤作動記憶として学習されてしまうと、無意識でも身体が動かなくなってしまいます。
梅干しをイメージした時に唾液が沢山出るのと同じで条件づけされてしまうのです。
条件づけされた脳の誤作動記憶は上書き可能、変更可能です。
イップス、ジストニアでお困りの方はご相談ください。