
こんにちは。篠崎です。
先日に続き、『イップスとジストニア治療』セミナーの学びを書いていきます。
西洋医学ではイップスもジストニアの一つとして扱われています。
ジストニアは、大脳基底核の機能異常による持続的な筋収縮を呈する症候群です。
疾患名ではなく、一症候名ということです。
はっきりした原因がわかっていないが、同じような症状を呈するものを症候群と呼びます。
ジストニアは、大脳基底核に機能異常があるとわかってきているがはっきりはしていないということです。
大脳基底核は、運動調節、認知、情動、動機づけ、学習などの機能を担っています。
心身条件反射療法でジストニア、イップスに効果が期待できる理由には、
「情動」を扱う点といってもいいと思います。
西洋医学では、原因を細部に求めていく傾向があり、現在では遺伝子レベルまで検査し治療をおこなえます。それによって、新たな命が助かったり、難病から助かったりと恩恵が受けられるわけです。その反面、見えないもの、扱いにくいものには弱さを持っていると私は思います。
見えないものというのが「情動」です。
りんごをみて、おいしそう嬉しいと思う人もいれば、赤過ぎて気持ち悪いと思う人もいる。
嬉しい、気持ち悪いという「感情」に、食べる食べないという「行動」を組み合わせて『情動』と呼びます。
情動はみえないもので、人によって異なるため、科学的データが取りにくく、扱いが難しいようです。PCRTは、医学的根拠も大切にしながら、感情や価値観、信念などの見えない部分を検査していくことが可能なため、医学的に改善が思わしくない人が頼ってくれています。
西洋医学とPCRTは、どちらが効果的か良い悪いではなく、アプローチ方法が違うということを理解し施術を受けていただく必要があります。
ジストニアで多い痙性斜頚は、何もしていないのに突然頚部が回旋してしまったり、上を向いてしまったりする不随意運動がおこってしまいます。
これに対し西洋医学では、薬物療法や注射、心理療法、手術などが用いられます。
PCRTでは、脳の誤作動記憶の調整をおこなっていきます。
痙性斜頸に関する話を問診させて頂き、ハード面の調整、ソフト面の調整へと入っていきます。
ハード面調整とは、身体を構成する筋肉や関節をコントロールする神経系であったり、経絡やチャクラのようなエネルギー系、自律神経系、免疫系などの調整をおこなっていきます。
ソフト面調整は、五感適応系、大脳辺縁系、大脳皮質系の関連を調整していきます。
ジストニアの原因と考えられている大脳基底核は、学習機能や動機づけ、認知の機能も担いますので、PCRTではジストニアに関連する誤作動記憶を調整し、今まで脳が無意識的に学習した悪いパターンを良好なパターンへ切り替えていき、その関連パターンを「認知」、「再学習」させていきます。
無意識の誤作動記憶パターンは、多くの場合、自分の意識と無意識の不一致だったり、○○しなければならないといった「~べき」思考が関連していたりします。
今度はイップスのなかの「投球イップス」を例にあげますと、
投げる時は「肘を伸ばさなければならない」や「大きく振りぬかなければならない」「指にひっかかる感触がなければならない」「ストライクにいれなければならない」など様々な「~べき」思考が関係しているケースがあります。
ピッチャーの本来の目的は、綺麗なフォームで投げることではなく、キャッチャーミットへ投げることです。イップスになる人は、それまでにそれなりの成績を納めてきた人であり、昨日今日始めた人がなるものではありません。そのため、投げる方法は本来は身体が覚えています。しかし、もっと上を目指そうとすると、技術論を考え始めてしまうため、無意識に身体が覚えた投球フォームと意識的に頭で考える投球フォームに不一致が生じてしまい、脳が誤作動してしまうのです。
これを技術でさらにカバーし改善しようとしてもほとんどが上手くいきません。
誤作動の由来を知っていくことで、脳は再学習しイップス症状は改善されていきます。
あなたのイップス症状には、何が関係しているんでしょうね?
イップスはつらい症状だと思いますが、施術は少し楽しみながら、何が自分を誤作動させているんだろうと主体的に取り組むことをおすすめします。
早く治さなければレギュラーから外されるとか自分で自分を追い込んでしまうと、さらに違った誤作動が起きてしまい改善に時間がかかってしまうかもしれません。
病院へ行ってもなかなか改善しないイップス、ジストニア症状でお困りの人で、心身条件反射療法、脳の誤作動記憶に興味のある方はご相談ください。
次回は、イップスになりやすいタイプをまとめていきたいと思います。