
- 投球が思い通りにいかない。
- 身体が固まってスムーズに動かない。
- ボールに指が引っかからない。
- 腕が振れない。
- 球がすっぽ抜けてしまう。
- ストライクが入らなくなってしまった。
このような野球をしている時の悩みがある人へ。
野球イップスの原因について、脳の働きから解説します。
原因を知ることで、何をしたら改善するのかわからなかった迷路から抜け出すヒントになると思います。
当院ではイップスに悩む人達が治療に訪れています。
参考になると思いますので読んでみて下さい。
あなたの野球イップスの悩みが少しでも軽くなることを願っています。
必要であれば治療を受けに来てみて下さいね。
Contents
【野球イップスの原因】投げられなくなった中学生
野球イップスで投げられなくなった中学生の原因には、2つのポイントがあります。
1つ目:脳が誤作動している。
2つ目:意識と無意識のギャップ。
脳の誤作動
脳の誤作動とは、ある状況に対してどうすれば最高の結果が得られるかを、瞬時に判断して身体に指令を出している脳が混乱している状態です。
ボールを投げるという状況に、脳はどうすれば最高な結果が得られるかを処理します。
しかし、脳が誤作動している状態だとその処理を誤ります。
その結果、脳から身体への指令は間違った情報が伝わるため、イップス、つまり運動障害が起こります。
イップスという運動障害は、筋肉が「共縮」している状態です。
本来筋肉は、一方の筋肉が収縮する(縮こまる)時、その反対の筋肉は弛緩します(リラックスする)。
上腕二頭筋が縮こまる時、上腕三頭筋が弛緩しなければ、肘が曲がりません。
上腕二頭筋も上腕三頭筋も共に収縮してしまうと肘は伸びきった状態になってしまいます。
結果、リリースポイントがずれたり、引っかかりを感じられなかったりして、ボールがすっぽ抜けてしまい暴投してしまうのです。
脳が誤作動する原因は、無意識にできた誤作動スイッチがONになるからです。
意識と無意識のギャップ
無意識とは、意識に上らない脳の中の記憶です。
普段は思ったり、考えたりしていないけど、ふとした瞬間に頭に浮かぶ過去の記憶ってありませんか?
ゲームをやっている最中なのに、先週の試合でヒット打った場面が頭に浮かんだ経験。
ご飯を食べている最中なのに、明日の集合時間何時だったかな?と頭に浮かんだりした経験。
このように頭の中では、色々な信号が無意識にグルグルしているため、ふとした時に全然関係ないことが浮かびます。
人間が認識できる、つまり意識できる情報は5%しかないと言われています。
95%は、無意識に眠っていたり、無意識に処理されています。
意識と無意識は、別の言い方をすると、建前と本音とも言えます。
無意識=頭で考えない=本音
(本音)ピッチャーだけど送りバントなんてしたくない打ちたい!
(建前)チームのために、監督からの指示だから送りバントするしかない。
本音を抑え込んで、当たり前のように送りバントをしていませんか?
これが意識と無意識のギャップです。
意識と無意識のギャップが脳の誤作動スイッチになりやすいのです。
野球イップスとは。
野球のイップスにはどんなものがあるのでしょうか?
ピッチャー
- 投球イップス
- ピッチャーゴロイップス
- 送球イップス
キャッチャー
- ピッチャーへの返球イップス
- 送球イップス
内野
- 塁間以下の距離が投げられない送球イップス
- 遠い距離は投げられる
- ゲッツーの時だけ投げられないイップス
外野
- 遠い距離が投げられない送球イップス
- 近い距離は大丈夫
キャッチボールイップス
試合の時だけイップス etc
野球イップスの症状
- 手首が固まる。
- 手首が反り返る。
- 肘が伸びてしまう。
- 肘が伸びない。
- 腕が大きく振れない
- 身体が捻じれない
- ボールが指に引っかからない
- ボールがすっぽ抜ける
- 狙ったところに投げられない
- ストライクが入らない
- 暴投してしまう
- 叩きつけてしまう
- 投げ方がわからなくなる
- 身体の使い方がわからなくなる
野球イップスは、その人一人一人違った場面、違った症状、違った頻度です。
さっきは大丈夫だったけど、今回はダメ。
監督が見ている時は大丈夫だけどいない時は出る。
そのため、イップスを経験したことがない人、知識がない人からしたら、ふざけていると思われてしまう人もいて本人はとてもつらい状況に立たされてしまいます。
野球イップスは、ふざけてやっているわけでも、下手だからできないわけでもありません。
イップスは、技術を十分に習得している人がなる傾向があります。
初心者は、基本的にイップスにはなりません。
野球イップスの原因を解説。
2、記憶
3、心が投球に影響する仕組み
4、野球イップスになった中学生の症例
投球動作の仕組み
まずは、身体が動く仕組みを簡単に説明します。
- 今から何をするかゴールを決めます。
- 周りの状況、身体の状況を五感を使って脳に送ります。
- その情報に従い脳で処理が行われます。
- 脳から筋肉へどのように使えばゴールが達成できるか指令が出されます。
- どのように身体が動いているか五感を使って脳へフィードバック情報が送られます。
これらが瞬時に繰り返し、刻一刻と変わる状況に適応しようと働いています。
ボールを投げるまでの投球動作の仕組みを解説していきます。
今から何をするかゴールを決めます。
- ボールをどこへ投げるか決める。
- キャッチャーにストレートでストライクを投げると決める。etc
周りの状況、身体の状況を五感を使って脳に送ります。
- キャッチャーまでの距離
- 土の固さ、風、周囲の音、バッターの状況、身体の状況など様々な大量の情報を伝える。etc
その情報に従い脳で処理が行われます。
- どのように動けばストレートでストライクが入るのか。
- 過去の記憶との整合性
- もしストレートが入った時の予測
- 無意識の感情 etc
脳から筋肉へどのように使えばゴールが達成できるか指令を出す。
- 脳からの指令を神経を通して筋肉へ伝えます。
- 収縮する筋肉、弛緩する筋肉、サポートする筋肉、腕だけでなく、全身の筋肉に指令が出される。
- 足を上げろ、立っていろ、腕を振れ、ボールを握れ、ボールを離すタイミング・スピード etc
- 筋肉だけでなく、自律神経系や内分泌系などにも指令が出る。
- 血圧を上げたり、呼吸を早めたり、心拍数を上げたり色々します。
どのように身体が動いているか五感を使って脳へフィードバック情報が送られます。
- 脳からの指令で働いた筋肉や身体がどのように変化し、現在どういう状況かを逐一脳へフィードバックしています。
- フィードバック情報を処理してまた指令を出します。
野球選手は、投げる動作を簡単にやってのけています。
しかし、身体の中ではここでは書ききれない程の複雑で大量の情報がやり取りされています。
記憶
野球イップスの原因の大注目ポイントは「記憶」です。
イップスが中々治りにくい原因、起こってしまう原因は、イップスになったことを「記憶」してしまったからです。
脳は、記憶する機能を持っています。
脳が記憶してしまう理由は、
「その状況がまた起こって欲しいから記憶する場合」
「もうそんな状況起こって欲しくないから記憶しておく場合」の2つのパターンがあります。
どちらも記憶するとメリットがあるのです。
野球イップスになったことを記憶させておくことで、脳は嫌なことから逃れようとしているのです。
つまり、ある状況で、ある誤作動スイッチがONになった、脳が誤作動処理をした、その結果、投球がおかしくなった、というこの一連を記憶し、イップスにならないように予防線を張って置くのです。
それが逆効果となり、なかなか治らない状態に陥ってしまうのです。
心が投球に影響する仕組み
ある状況になると、ある誤作動スイッチがONになり、脳が誤作動する。
この記憶が書き変われば、投げられないという野球イップスは改善していきます。
書き換えるためには、ある状況とある誤作動スイッチを見つけなければなりません。
その前に、心が投球に影響する仕組みからご説明します。
脳の処理は、入力情報、過去の記憶、知識、経験、感情などあらゆるあなたの無意識に眠る情報を元に処理が行われます。
- 完封勝利した過去の経験は、あなたに喜びという感情をもたらすかもしれません。
- プレートに足をつけていなければならないというルール知識は、あなたの足をプレートから離れないように作用してくれます。
- 暴投してしまった記憶は、あなたに恐怖心を抱かせるかもしれません。
- 監督の声は、あなたに何か警戒心を与えるかもしれません。
このように色々な無意識の情報が誤作動のスイッチになる可能性があります。
恐怖は安全な投球をするためかもしれません。
喜びは投球を頑張る後押しになるためかもしれません。
これらは無意識に眠っている情報ですので、普段あなたが意識することはありません。
無意識の心に眠る誤作動スイッチが、脳の誤作動の原因なのです。
誤作動スイッチになる感情
期待:周囲からの期待を認識している無意識の自分がいてそれがスイッチになっている。
義務:綺麗なフォームで投げなければならない。
喜び:また以前のような勝ち方をしたい。
連帯感:チームの勝利のために活躍しなきゃ
恐怖:また暴投するのではないか?
逃避:監督に怒られるのはもううんざり、逃げたい。
劣等:チームの仲間より下手である。
感情の背景にある信念や価値観
期待の背景にある羞恥心
・期待されているのに負けては恥であるという心。
義務の背景にある執着心
・綺麗なフォームで投げなければならないという義務がいつの日からかこだわりになってしまった。
喜びの背景にある自尊心
・以前の勝ち方で得た自信。自分なら勝てるというプライド。
連帯感の背景にある探究心
・どうすればチームのためにもっと良いピッチングができるだろうか?と探求する心。
恐怖の背景にある警戒心
・暴投することで監督に起こられ、レギュラーを外されるのではという警戒心。
逃避の背景にある復讐心
・なぜ自分だけ怒られなければならないんだという監督への怒り。
劣等の背景にある競争心
・野球は自信があるから負けたくないけど、みんなより下手であるという心。
これらのような無意識の心の状態が野球イップスの原因ということです。
一人一人何が誤作動スイッチになっているのかは違います。
野球イップスになった中学生
野球イップスになった中学生の症例を参考に原因となった誤作動スイッチを解説していきます。
ある状況になると誤作動スイッチがONになる反応をしていました。
(ある状況)
- マウンドからキャッチャーまでの距離
誤作動のスイッチを検査していきました。
(誤作動スイッチ)
義務:ストライクに入れなければならない
その背景は?
競争心:一番良いピッチャーでいるべき
その背景は?
喜び:一番良いピッチングをしていた頃の喜び
マウンドからキャッチャーまでの距離になると誤作動スイッチがONになる。
(その結果)
脳が誤作動する。
↓
(さらにその結果)
腕が振れない。
手首が固まる。
運動障害というイップス症状を呈する。
まとめ
野球イップスの原因は、脳で記憶された誤作動スイッチです。
当院では、脳の誤作動記憶と呼んでいます。
イップスは、技術不足でもフォームが悪いわけでもありません。
なぜなら問題なく投げれる時もあるからです。
もし技術不足なら技術が向上するまでイップス症状が治らないと辻褄が合いません。
もしフォームが悪いからならイップスが出ない時はフォームが良くなっているのか?
そんなことはありません。
フォームを原因にする人はとても多いです。
しかし、フォームの良い悪いは結果でしかありません。
結果を見てフォームが良い悪いと言ったところで何の解決にもなりません。
リリースポイントがズレていることが原因となれば、リリースポイントを治せばイップスは治ります。
しかし、イップスのリリースポイントのズレは本人が治したくても治せないから苦しいのです。
リリースポイントに意識が向けば向くほど、どうすれば良いのかわからなくなり、脳は誤作動してイップスは治らなくなります。
野球イップスの人は野球の上級者です。
中学生だとしても中学生としての上級者なのです。
どこでリリースすればどこに投げられるかはもうすでに身体(脳)が知っています。
つまり「記憶」されています。
脳が誤作動しなければ上級者は必ず思い通りの球が投げられるのです。
「ある状況+脳の誤作動スイッチ=脳の誤作動=イップス」
脳の誤作動スイッチは、あなたの無意識に眠っています。
無意識は本音とも言います。
あなたの本音に向き合うことで誤作動のスイッチはOFFに切り替わります。
自分自身で本音に向き合うのことは難しいかもしれません。
当院へご相談下さい。
一緒に野球イップス改善を目指しましょう。
あなたのイップスを改善したいという気持ちに寄り添います。
自己紹介

篠崎大輔
カイロプラクティック、心身条件反射療法、コーチング、心理学を生かした施術でみんなを「笑顔」にするお手伝いをしています。
・WHO基準カイロプラクター
・AMI認定アクティベータ・メソッド国際アドバンス認定
・心身条件反射療法(PCRT)・プラチナ認定
・ICC国際コーチ連盟認定国際コーチ