
慢性腰痛に悩む患者さん、その患者さんが来院する治療院の施術者におすすめの1冊です。
第1章:腰痛の原因は「腰」だけではなく「脳」にあった!
第2章:脳から腰痛を改善する3つの秘策
第3章:痛み患者の最後の楽園「ADAPT」の秘密に迫る!
第4章:「ADAPT」への取材で見えてきた「最新」痛みコントロール術
Amazon商品紹介からの抜粋
■大反響を呼んだ、NHKスペシャル「腰痛・治療革命」が
待望のDVDブック化!
■放送には入りきらなかった『最新情報』『特典映像』も満載!
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今回、NHKスぺシャル「腰痛・治療革命」では、
日本初の腰痛改善用のオリジナル映像を制作。
「映像を見るだけ」の対策で
脳によい影響を与え、腰痛を改善できることを明らかにしました。
また、それでも改善しない“がんこな腰痛持ちの人”に対しては
「(1回たった3秒)背中を反らす」対策の有効性を検証。なんと、この2つの対策だけで、
長引く腰痛に悩む約6割の人に改善効果がありました。さらに本書では、放送では詳細をご紹介できなかった
海外の最新治療法「認知行動療法」についても、たっぷりと紹介しています。
Contents
痛みの謎を解くカギは、脳の「DLPFC」にあった
2011年カナダ・マギル大学の研究チームが、衝撃の研究を発表。半年以上にわたって腰痛に悩む患者(18人)の体を徹底的に調べた結果、ある場所に共通の異変が起きていることがわかりました。それは、「脳」です。慢性腰痛の人は、脳の「DLPFC」という場所の体積が健康な人と比べ極端に減り、活動が衰えていることがわかったのです。痛みが強くて長引いている人ほど、この部分の働きは衰えていました。このことからDLPFCの衰えが、腰痛の原因のひとつになっているのではないかと考えられています。
要約
腰に炎症が起きると、その情報は神経を通して脳に伝えられます。すると脳では、神経細胞が興奮し、「痛みの回路」が生まれます。この「痛みの回路」ができて初めて、人は「腰が痛い」と感じます。
そして、大本の原因である腰の炎症が治まっても、この痛み回路の興奮がすぐに落ち着かないこともあります。この時活躍するのが脳の「DLPFC」という部分です。
DLPFCが痛みの回路の興奮を鎮めるように指令を出すため、活動が衰えていると、腰の炎症が解消されているのに「腰が痛い」という「幻の痛み」を作り出す結果になります。
幻の痛みは、「嘘・ニセ物」という意味ではなく、痛めた場所とは関係ない痛みということです。
画像診断を信じてはいけない
腰痛は「急性」「慢性」という分類とは別に、「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」という分け方があります。
前者は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、あるいは外傷(ケガ)など、原因がはっきりしているもので、全体の15%を占めます。
残る85%は、後者の「非特異的腰痛」。原因がはっきりしない腰痛です。つまり原因がはっきりわかる腰痛のほうがマレなのです。
理由1:画像検査では異状がみえない
理由2:画像検査で腰に異常があっても、それが痛む原因とはいえない
理由3:そもそも腰に異常がない
「椎間板ヘルニア=腰痛」ではない
脊柱管狭窄症も、画像だけではわからない!?
DLPFCを衰えさせる「腰痛の恐怖」
脳の中で「痛みの回路」の興奮を鎮める役割があるDLPFC。じつは、このDLPFCには、もうひとつ大事な役割があります。それは「恐怖、悲しみ、不安」などの負の感情をコントロールすることです。
「強い恐怖心」が脳の中で生まれると、DLPFCにストレスが加わることになります。この状態が長く続くと、DLPFCは、負の感情をコントロールする役割を果たすために神経細胞がへとへとになると考えられます。活動が衰えたDLPFCからは、「痛みを鎮めよ」という指令が出にくくなり、「痛みの回路」の興奮が続くようになる。これが「幻の痛み」が長く続くメカニズムのひとつなのだと考えられています。
「映像を見る」だけで腰痛を改善
1997年オーストラリアで、「腰痛に屈するな!」というCMを1年半にわたって放送したところ、腰痛に関する医療費が削減できたそうです。
その日本版を2章では紹介しています。
「ADAPT」の秘密に迫る!
オーストラリア・シドニー大学痛み管理研究所でおこなわれている重度の慢性腰痛患者に対する痛み治療「ADAPT」。
世界各地から腰痛に悩む患者が集まり、3週間の認知行動療法プログラムが行われている。
そのプログラム内容、痛みコントロール術が詳しく書かれている。
感想
私も数年前まで腰痛の原因は人間の構造にあると信じて施術を行ってきました。
『座っているところから立ち上がる時の腰痛は、腸腰筋が関係しているからそれを緩めれば痛みが無くなる。』
こんなこと言っている治療家はインターネットを数分見れば腐るほど出会います。しかも、それは私しか知りませんよと治せるのも私だけですよと自信満々な人が多い。自分も今までは同じ部類でした。
この本は、慢性腰痛の原因は腰に問題があるのではなく『脳』にあることを説明してくれています。特に、脳のどこに問題があり、そしてその原因まで説明してくれているのはとても勉強になりました。
慢性腰痛に苦しむ患者向けの本としてだけでなく、医療者、施術者が読み、腰痛治療の古い常識から新しい常識へパラダイムシフトを起させてくれる1冊だと思います。この1冊だけではわかりにくい人は、同じように「慢性痛は「脳」が原因」という類の書籍は現在多数出版されているので読んでみることをおすすめします。
このブログでもおすすめ本を紹介していきます。