
私たちの身体は、神経の電気信号が行ったり来たりして動いている。
入力される刺激に、処理をし、出力し、動く、それをさらに入力し・・・。
この絶え間ない繰り返しを、私の身体の中で、私が意識することなく、私が動いている。
不思議である。
これを解明しようとする科学と科学で証明されようがされまいが働いている身体がある。
刺激を処理する中枢神経系(脳と脊髄)がある。
脳は、神経系の最高中枢と呼ばれる。
感覚をキャッチしたり、記憶が眠っていたり、未来を予測する機能が備わっていたり、命令を出す機能が備わっていたりするからだ。
脳からの指令を受けて、ホルモンが分泌されたり、筋肉が動いたり、内臓器官が働いたりする。
脳が中枢で、身体は末梢。
症状を担うのはほとんどが末梢である。
肩こり、腰痛、頭痛、腹痛etc。
脳梗塞、脳出血により脳に障害が出たら一大事、生命に関わる機能が失われてしまう。
しかし、突然脳梗塞、脳出血になるわけではない。
前回もお話ししたエネルギーブロック、機能低下から徐々に障害は進行しているのだ。
今回はその話はおいておき、神経系に注目する。
神経は、脳と身体をつなぐ電線だ。
発電所(脳)から電線(神経)をつたい家(身体)に電気が送られテレビ(筋肉など)が見られる。
これは一方通行だが、身体は別のルートを使って逆方向の伝達も起こっている。
ここでは簡単に一方通行のお話でいく。
私たちは、テレビ(筋肉)が見られなくなることで異常に気が付く。
テレビが壊れたのではと電気屋さんにテレビを見てもらう。
テレビが壊れていればテレビを修理する必要があるが、テレビが壊れていないのに見られなくなったならば、次は、家の中の配線、ブレーカーなどの異常を見る、それも大丈夫であれば電線に異常があるかを見る。
少々、神経系の働きを電線の話に当てるのも難しい話なのだが、異常は、テレビが壊れているのか、その途中なのか、発電所なのかということだ。
発電所が異常をきたしていれば、さまざまな家庭に異常が起こる。
電線にもテレビにも異常がなくても見られなくなる。
発電所にもテレビにも異常はないが、電線が切れていたらテレビは見られなくなる。
つまり、神経系というネットワークの中で異常を来すと身体に異常が出るのだ。
しかし、私たちが気がつくのは、身体に異常が出た時なので、異常が出たところにとらわれてしまう。
そこには異常がないかもしれないのに。
足が痺れていれば、足のレントゲンを取る。骨や筋肉に異常はない。
すると、腰のレントゲンを取る。椎間板ヘルニアや骨の異常、軟部組織の異常が無いかを確認する。
ここで椎間板の異常が見つかるとあたかも足の痺れの原因かのように決めつけてしまう。
電線の話に当てはめると正しく感じてしまうのだ。
しかし、人間の体は一方通行の電線では無い。
ネットワークで働いているため行ったり来たり、補ったり補われたりしながら働いている。
このネットワーク全体の異常を健全にしようとすれば、足の痺れはネットワークの中で働く力が治してくれるのだ。
だから、神経ではなく神経系が重要なのだ。
症状を改善することが一番の目的だと思うが、それを治すためには、全体に目を向けていく必要がある。
それを理解したならば、治るのが難しいと言われている症状も改善方向へ向くだろう。
注目してしまう症状ではなく、自分の知らないところで働いてくれている機能を信頼しよう!
篠崎大輔